『 遺産分割 』 と 成年後見

ご本人さん(被成年後見人)に、ご相続が発生された場合について、別項目でお伝えさせて頂きましたが、

以外によくあるケースが、当のご本人さんがすでに相続人の立場であられるケースです。

 

例えば、お父様が2か月ほど前に亡くなられた。

お母様は、現在認知症が進んでいて、施設に入所されている。

息子さん夫婦と娘さん夫婦がいる。 このようなケースです。

 

ご自宅をどうしたらいいのでしょうか・・・?

息子さん夫婦は、ご両親とずっと同居されておられ、娘さん夫婦は遠方におられる。

お父様の生前から、ご自宅は息子さん名義にすることについては、話し合いがついていて、

お母様も息子さんも娘さんもみなさんそのつもりでおられた。

 

そして、この度お父様が亡くなられたので、そのように自宅の名義を変えたい(相続登記)。

というご相談です。

 

皆様の話し合いがまとまっておられたのだから、その通りに名義を変える(相続登記)をされればよい。

ということをおっしゃる事が多い印象をうけます。

 

ここで、一つ大きく障壁になってくるのが、

認知症で現在施設に入所されておられるお母様は、肝心の話し合いができない。

話し合いの結果の書面(遺産分割協議書といいます)に署名や実印を押すことができない。

という所です。

また、一部の相続人(このケースはお母様)を除外してなされた遺産分割協議は、分割協議自体が

無効とされる可能性があります。遺産分割協議は相続人全員でなされなければならないからです。

 

ですので、このケースの場合は、

お母様の代理人である成年後見人 ・ 息子さん ・ 娘さん

の3名で、遺産分割協議をしなければならない。

という事になります。

 

これで 第一段階=遺産分割協議を始める条件  はクリアーになります。

 

・・・しかしながら、次の問題が出てきます。

 

それは、お母様の成年後見人は、あくまでもご本人さんの権利を守るための立場であって、

ご家族の立場を守る法的な立場(代理人)ではない。という所です。

 

そして、このようにお母様の本来の相続分 自宅の2分の1 (参考:息子さんは4分の1 娘さんも4分の1)

の持分の権利を、仮に息子さんに遺産分割協議であげてしまうのであれば、

お母様の権利は失われる事になりますので、家庭裁判所の許可 というものが必要になってくるのです。

 

家庭裁判所がすんなり許可を下してくださればよいのですが、

この様なケースの場合、なかなか許可を頂くのは難しいケースが多いように思います。

(実務上で、自分なり周りの専門職の方々からの個人的な印象です)

 

家庭裁判所としましても、わざわざ今お母様がこの状態の時に遺産分割協議をされないでも、

ご本人さん(被後見人)に相続が発生された後で、相続人さんたち(このケースなら息子さんと娘さん)

で円満にされたほうが、いろいろなリスクや手続き上の不安定さといったものはなくなりませんか・・・?

という、本音があるのかもしれません。

 

 

そうはいうものの、当の息子さんや娘さんとしては、大変不都合が多いかと思います。

なぜなら、亡お父様の相続財産は、ご自宅だけでなくて預貯金や保険・有価証券等々、

他にもいろいろとあるケースが多いからです。

今この段階で話し合いを済ませて、スッキリ終わらせてしまいたいのに、

手続や制度に阻まれてしまって、そうすることができない。

また、生前お父様もお元気な時のお母様もそのように話されておられたのに・・・。

 

ご本人さんやご家族の本音や合意の通りに、手続きや制度に阻まれてしまってうまくいかないケースです。

 

この様な状況のご相談を受けた際に感じますは、

『 生前贈与 』や『 遺言 』といった処理をされておかれる事の重要さです。

そして、お元気な間にこの様な事をお伝えさせて頂いても、多くの場合は 『また考えておきます。』

『今からゆっくり検討しますわ。』 と言って終わられる方が多いようにも感じます。

 

このようなお気持ちもわかるような気がしますが、そのあとの困られている方々の状況に直面しますと、

そうは言っている暇もないのかな・・・、と思うのも事実です。

 

後は、ご本人さんやご家族様が一番納得のいかれる方法(何もしない事も含め)をとっていかれる事が

一番大切な部分ですので、こちらの立場からさせて頂けるのは、『制度や仕組みについての正しい情報提供』

という事になるのかもしれません。

 

色々な想定や検討をしすぎて、疲れてしまったり不安になってしまっては何のための準備かわかりませんが、

そこはいろいろな専門の方々との役割分担を上手に活用されながらの準備が一番かと思います。

個人的には、早めのご相談をおすすめいたします。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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