ご相談での指針(成年後見相談 〜法定後見の利用の仕方〜)

 

 

成年後見制度(法定後見)についてのご相談の際に、

大まかな7パターンを理解されておかれると、後見人(保佐人、補助人)の選任後のイメージが持ちやすくなります。


相談にいかれる前には、大まかな枠組みをわかっていたほうが、話が早いかもしれません。

 

 

 

ご親族・ご家族が後見人(保佐人、補助人)をされるケース

 

ケース1

〇 後見人(保佐人、補助人)          = ご家族・ご親族等 ご身内の方

 

ケース2

〇 後見人(保佐人、補助人)          = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   + 後見支援サポート               = サポート機関(社会福祉協議会や支援団体)

 

ケース3

〇 後見人(保佐人、補助人)          = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   + 後見監督人(保佐監督人、補助監督人) = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方

 

 

専門職等の方が後見人(保佐人、補助人)をされるケース



ケース4

〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方1名(弁護士、司法書士、社会福祉士 等々)



ケース5                   

〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方2名

                     ・法律専門職の方 (弁護士、司法書士 等々)

                     ・福祉専門職の方 (社会福祉士、介護福祉士、支援団体 等々)


ケース6 (権限分掌タイプ)                   

〇 後見人(保佐人、補助人) 『療養看護』  = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   + 後見人(保佐人、人)『財産管理』  = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方

 

 

ケース7 (ケース4,5,6から専門職離脱タイプ)                   

〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方1名又は複数(弁護士、司法書士、社会福祉士 等々)

      又は

〇 後見人(保佐人、補助人)  『療養看護』  = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   +後見人(保佐人、補助人)『財産管理』  = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方

  ⇒上記タイプから、後見支援信託制度を利用

〇 後見人(保佐人、補助人)          = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   の形に移行



 



大まかな分け方になりますが、7パターンをまずはご理解されると良いかもしれません。

この内のどのスタイルが一番良いのか・・・、を検討される材料とされると、具体的な話し合いが進みやすくなるかと思われます。


どのパターンも正解ですから、あとはご自身たちにとって一番いい仕組みを作っていかれるだけになります。



 

 

 

それぞれのケースを、もう少し細かく補足して説明していってみましょう。

 

 

まずは、ご親族・ご家族が後見人(保佐人、補助人)をされるケース

後見人(保佐人、補助人)をされる方そのものの、置かれておられる状況や後見業務に対する理解、

とれる時間やコストの問題から、組み合わせの工夫がでてくると理解されて下さい。

 

 

ケース1


後見人(保佐人、補助人)として、制度の理解もしっかりされておられ、今後 家庭裁判所等とのやり取り

や報告・連絡・相談等についても、しっかりとされる意欲や心意気があられるかたは、

『 〇 後見人(保佐人、補助人) = ご家族・ご親族等 ご身内の方 』 

の枠組みで十分に機能されるかと思います。

 

 

後見人(保佐人、補助人)を選任するのは、あくまでも家庭裁判所サイドになりますが、

ここまでしっかりとした下地ができているようでしたら、選任をされる可能性も高いかもしれません。

 

 

 

 

 

ケース2

 

ある程度、後見人(保佐人、補助人)としての下地(制度の理解や意欲や時間の余裕)があるものの、

分からないことや何か起こってきた時の不安を解消されておきたい方については、

『 〇 後見人(保佐人、補助人) = ご家族・ご親族等 の方

    + 後見支援サポート    = サポート機関

                   (社会福祉協議会や支援団体等)』

のスタイルをとっておられる方が多いように思います。

 

サポート機関としては、社会福祉協議会や社会福祉事業団といった準公的組織の支援を受けられるケース、

地域地域の支援団体(専門職グループ等々)の支援を受けておられるケースなどです。(伊丹市、西宮市等)

 

ここの部分は、ご本人様やご家族様との相性の部分もでてこられますので、本当にケースバイケースです。

 

 

 

 

 

ケース3

ある程度、後見人(保佐人、補助人)としての下地(制度の理解や意欲や時間の余裕)があるものの、

のモデルです。分からないことや何か起こってきた時の不安を解消されておきたい方について、もう一つ多いパターンが、

『 〇 後見人(保佐人、補助人)     = ご家族・ご親族等 

        +

        後見監督人(保佐監督人、補助監督人)

       = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方 』


ケース2よりは、踏み入った関わりを求める方のケースです。


後見人(保佐人、補助人)を監督する役割の方を、後見監督人(保佐監督人、補助監督人)といいます。

個別の専門職に後方支援をお願いされたい方が、この様な枠組みを使っておられるケースがあります。

 

 

 

次に、専門職等の方が後見人(保佐人、補助人)をされるケースを見てみましょう。

 

ご家族・ご親族がされるには、時間がない、制度がややこしい、専門職の方に頼みたい、ケースです。

 

ご本人さんの、ご家族やご親族内部ですでに何らかの紛争性がある場合等も、当てはまります。

財産の取り込みや、ご本人さんが亡くなられた後の紛争が予想できる時等、

家庭裁判所も、より慎重に後見人(保佐人、補助人)の選任をされます。

 

 

 

ケース4


〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方1名

               (弁護士、司法書士、社会福祉士 等々)


後見人(保佐人、補助人)は、申立の段階から候補者を立てるケース、立てないケース、両方あります。

ご家族やご親族が、後見人(保佐人、補助人)をされない場合、一番よくあるスタイルです。

 

 

 

専門職の候補者を立てられた場合は、大体は選任していただける印象がありますが、

選任決定権限は、あくまでも家庭裁判所のほうにありますから注意が必要です。

 

 

また、候補者なしで申立をされた場合は、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士、支援団体 等々)を、

家庭裁判所が候補者リストの中から選任をされます。


地元の家庭裁判所からの候補者の方々は、すでに複数の選任を受けておられるケースが多く、

実務現場においては、後見人等の受け皿が一杯になってしまっている現状も一部の地域では見られます。





ケース5  

ケース4のような、専門職の受け皿の問題や、ご本人さんの支援をよりきめ細やかにするため、後見人(保佐人、補助人)を複数名(2名が多いようです)、選任されるケースがあります。


よくあるパターンは、法律専門職+福祉専門職 の組み合わせです。後見人(保佐人、補助人)の義務である、財産管理=法律専門職・療養看護=福祉専門職という振り分け(権限分掌といいます)をして支援する様なケースです



〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方2名

                     ・法律専門職の方 (弁護士、司法書士 等々)

                     ・福祉専門職の方 (社会福祉士、介護福祉士、支援団体 等々)



後見人(保佐人、補助人)に対しての報酬は、通常1名分を頭割りして決定されるケースが多いので、

ご本人さんの負担(後見人等へ支払う報酬)の問題については、あまり変わりはありません。

また、家庭裁判所も、法律職と福祉職 を複数名選任する必要性や正当性を判断されます。

 

また、このようなケースにおいて、申立直後に大まかな財産管理の道筋がついた段階で、

法律専門職は後見人(保佐人、補助人)から離脱(辞任)をして、

あとは福祉専門職が後見人(保佐人、補助人)として単独で残るような方法論もあります。

 

 

 

 

ケース6

 

当職においても最近多い形になります。

権限分掌するのはケース5と同じですが、

大きく違うのはご家族・ご親族が関わっておられる。という所です。

                   



〇 後見人(保佐人、補助人) 『療養看護』  = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   + 後見人(保佐人、人)『財産管理』  = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方

 

『療養看護』という役割の部分は、日常の介護や支援、お世話といった役割の部分と同じ方がされた方が、

個人的には、よいのではないか、と感じるシーンは多いです。

また、専門職にすべてをまかせるのではなく、一部はご自身たちが関わることができる。という部分に、

安心感を感じられる方も少なくないように思います。

 

ある程度、本人の支援や関わりをしたい、というお気持ちが感じられる際には、

権限分掌をするかたちでのお願いを、申立時に家庭裁判所にさせて頂く事になります。

家庭裁判所のほうも、あくまでもご本人様(被後見人等)の支援や権利の保護、保全といったことが

まず第一ですので、このような形に対しては、比較的柔軟に対応して下さるような印象があります。

 

 

 



ケース7 (ケース4,5,6から専門職離脱タイプ) 

ある程度の財産管理や手続きが終わったならば、

後は、家族親族でというご要望も少なくありません。

 

ただ、家庭裁判所としては、

後見人等による財産の使い込みや散逸がないようにする事

をクリアする必要があります。

 

 

ですので、ある程度の財産がある場合、家族親族のみでの後見人等になるケースは、

最近は(ほとんど?)ないようです。


そこで、財産の散逸や使い込みを防ぐという趣旨で生まれてきたのが、

後見支援信託という制度になります。

この制度のおおまかな特徴は、現金・預貯金は、日常的に使わないものは信託銀行にあずけてしまって、

簡単に出し入れできないようにしてしまう。という制度になります。

仮に、預入先の信託銀行が倒産してしまったとしても、ご本人様の信託口座は別の扱いになり、

1000万円とその収益額については、保証を受けることができる。 という制度です。

 

ですので、

そもそもの使い込みや散逸のリスクがほとんどなくなる ⇒ 親族での財産管理もOK

という流れになっていきます。

 

〇 後見人(保佐人、補助人) = 専門職の方1名又は複数(弁護士、司法書士、社会福祉士 等々)

      又は

〇 後見人(保佐人、補助人)  『療養看護』  = ご家族・ご親族等 ご身内の方

   +後見人(保佐人、補助人)『財産管理』  = 専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)の方


  ⇒上記タイプから、後見支援信託制度を利用


〇 後見人(保佐人、補助人)          = ご家族・ご親族等 ご身内の方 の形へ

 

ただし、後見支援信託制度を使うかどうかについては、

家庭裁判所との事前の打ち合わせ等が必要となっていきます。

 

また、

申し立てをされる際に後見支援信託制度の利用をお願いするケースと、

ある程度の財産管理等が終わった後で、後見支援信託制度を利用されるケースと

両方のケースがあります。

 

ここにつきましては、

ご本人様(被後見人等)のご状況やその時の環境、協力関係、その他 総合的に考慮をして、

どのような支援体制にしていくか。という所を検討されていく中で出てくる選択肢になる。

ということを、ご理解されておかれればよいかと思います。

あくまでも、ご本人様の為の制度。という部分が大前提となります。

 

 

以上のように、ざっと見ましても、いろいろなケースがあります。

 

 

あくまでも目的は、当のご本人さん(被後見人、被保佐人、被補助人といいます)の権利を守ることです。

成年後見制度(法定後見)は、あくまでもご本人さんの権利を守ることが第一の仕組みですから、

わけのわからないようになってしまいそうになった時は、ここに立ち返ってみると良いかと思います。

 

 

『 聞くのと 実際にやるのとでは大違い 』という言葉がありますが、

後見人(保佐人、補助人)業務というものは、本当にその言葉がよくあてはまる気がします。

 

その裏返しで、大きくいろいろと教えて頂いたり、気づかせて頂くようなことが非常に多い部分は、

この分野の仕事の、もしかしたら醍醐味になっている部分なのかもしれません。

 

最近では、成年後見の分野に特化されてお仕事をされている司法書士の方や、社会福祉士の方に

お会いする機会も、多くなってきているような印象を受けます。

 

制度の利用をされるのなら、正しい理解と工夫の理解をしっかりとされて、正しく悩んで(検討して)いかれる。

皆様の道筋がついていかれる事を願っています、有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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